<関税法違反容疑>象牙、中国に密輸図る 販売店の役員逮捕
ワシントン条約で国際取引が禁じられている象牙を中国に密輸出しようとしたとして、警視庁生活環境課は2018年1月31日、東京都台東区の象牙販売店「全日本象牙卸売センター」取締役、土屋雅右容疑者(47)を関税法違反(無許可輸出未遂)容疑で逮捕した。中国では象牙の人気は高いが、売買が禁じられている。専門家の間では「許可を得れば売買ができる日本からの密輸出が横行している可能性が高い」との指摘があり、同課は事件の全容解明を目指す。
捜査関係者によると、土屋容疑者は2017年11月28日、中国人船員の男(31)=同法違反容疑で逮捕・起訴=らと共謀し、東京湾の青海コンテナふ頭(東京都江東区青海3)に停泊中の船に象牙製の印材605本(計7キロ)を積み込み、中国に持ち出そうとした疑いが持たれている。
船員の男が乗船していたコンテナ船は中国・上海を出港した後、同日午後7時半ごろ、東京湾に寄港した。男は上陸後、都内で「調達役」の中国人の男(36)=同法違反容疑で逮捕・起訴=に約30万円を支払って印材を受け取った。
同日午後11時半ごろ、男が船に戻ろうとした際、東京税関の検査で男のリュックサックと紙袋の中に印材が入っていることが発覚。象牙を持ち出そうとしたとして、船員の男は逮捕された。
その後の捜査で土屋容疑者が「調達役」の男に印材を販売していたことが判明した。生活環境課は2018年1月16日に全日本象牙卸売センターを家宅捜索。押収した資料などから、土屋容疑者と中国人2人があらかじめ密輸出を計画していたとみている。
全日本象牙卸売センターの社長(77)は29日、毎日新聞の取材に対し「もう終わったことですので、話したくありません」と答えていた。
【安藤いく子】
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